宮部みゆきの部屋





[宮部さん・略歴]

・・・年号、年齢などは、一年程度のずれがあるかもしれません・・・

西暦
S・H
年齢
出来事
60
35
0歳
・東京江東区、深川に生まれる。
・本名「矢部みゆき」
78〜
53〜
18歳〜
・都立高校を卒業後、速記記者となる。
・法律事務所に勤務しながら小説教室に通う。
・当時4年制大学出の女子は就職難だった。
・速記も上達するまで時間がかかるとのことで、専門学校も途中から夜間にきり変える。
・普通の会社に勤めながら速記の仕事も行う生活。
・その後、1級速記者資格を取得後、法律事務所へ。
・仕事がないときはけっこう暇だったらしく、そういうときはもちろん本を読んでいた。
・法律事務所で働くかたわら、テープ起こしなどのアルバイトもする。
・人に自分の考えや思いを伝えることの素晴らしさに触れるうちに、自分でも好きな推理小説を書いてみたいと思うようになる。
84〜86
59
24歳
・「講談社フェーマス・スクール小説作法教室」に通う。
85
60
25歳
・法律事務所退職。
85〜86
60〜61
25〜26歳
・働いていないと不安ということで、家の近くの会社に勤めながら2年間、二足のわらじ生活をおくる。
87
62
27歳
・3度目の投稿で「我らが隣人の犯罪」が第26回オール読物推理小説新人賞を受賞。
・「かまいたち」第12回歴史文学賞佳作受賞。
89(90)
1(2)
29(30)歳
・「魔術はささやく」第2回日本サスペンス大賞を受賞。
91〜92
3〜4
31〜32歳
・「龍は眠る」「返事はいらない」2期連続直木賞候補。
・「火車」1992年、週刊文春傑作ミステリーベスト10、第1位。
・「本所深川ふしぎ草紙」第13回吉川栄治文学新人賞。
・「龍は眠る」第45回日本推理作家協会賞受賞。
93
5
33歳
・「火車」第6回山本周五郎賞受賞。
98
10
38歳
・「理由」1998年下半期「直木賞受賞」
001240歳 ・「クロス・ファイア」6月映画化
・「ちちんぷいぷい」4月20日発売(室井滋との共著)
・「ぼんくら」4月21日発売
・「怪(あやし)」7月
011341歳・「模倣犯」1月4日
01
13
41歳
・「R・P・G」8月20日集英社より文庫書き下ろしで発売
011341歳・「ドリームバスター1」11月
021442歳・「贈る物語terror」11月
031543歳・「ブレイブストーリー上下」3月
031543歳・「ドリームバスター2」3月
031543歳・「誰か somebody」初版第一刷11月25日




[宮部さんの著作一覧]
(作品名は感想、出版社は粗筋と表紙にリンクしています)
[作品名]
[出版社]
[出版年]
01火車新潮社92.07
02かまいたち新潮社96.09
03蒲生邸事件毎日新聞社96.09
04堪忍箱新人物往来社96.10
05幻色江戸ごよみ新人物往来社94.04
06心とろかすようなマサの事件簿東京創元社97.11
07今夜は眠れない中央公論社96.10
08淋しい狩人新潮社97.01
09ステップファザー・ステップ講談社96.07
10スナ−ク狩り光文社92.06
11地下街の雨集英社94.04
12天狗風 霊験お初捕物控二新人物往来社97.11
13東京下町殺人暮色光文社94.10
14とり残されて文藝春秋95.12
15長い長い殺人文藝春秋97.05
16初ものがたりPHP研究所97.03
17鳩笛草光文社95.09
18パ−フェクト・ブル−東京創元社92.12
19人質カノン ,文藝春秋96.01
20震える岩」霊験お初捕物控1講談社97.09
21返事はいらない新潮社94.12
22本所深川ふしぎ草紙新潮社95.08
23魔術はささやく新潮社96.01
24夢にも思わない中央公論社95.05
25龍は眠る新潮社95.02
26レベル7新潮社93.09
27我らが隣人の犯罪文藝春秋93.01
28理由朝日新聞社98.06
29平成お徒歩日記新潮社98.06
30クロスファイア(上下)光文社98.10
31ぼんくら講談社00.04
32怪・あやし角川書店00.07
33模倣犯(上下)小学館01.04
34RPG集英社文庫01.08
35ドリームバスター1徳間書店01.11
36ブレイブストーリー(上下)角川書店03.03
37ドリームバスター2徳間書店03.03
38誰か somebody実業之日本社03.11
宮部みゆき・関連作品
01七つの怖い扉新潮社98/12
02運命の剣「のきばしら」PHP文庫99/02
03ちちんぷいぷい文藝春秋00/04
04贈る物語terror光文社02/11




[宮部さんあれこれ]

[宮部さんは猫好き!][原稿は手書き?]
[宮部さんは落語好き!][宮部さんが好きな作家]
[宮部さんの声はかわいい!(笑)]
[ペンネームの由来][欠損家庭を書くのはなぜ?]
[宮部さんちは職人の家系?][宮部さんのご贔屓]
[宮部さん自身の本との出会い][田辺書店のモデル]
[宮部さんは外国の方が苦手?][宮部さんは出不精?]




宮部さんは猫好き!

「鉄」と「すず」に走ってもらいました(笑) by 「霊言お初・天狗風」






宮部さんは落語好き!

詳しくは梨花さんの「はなじるば」へどうぞ




宮部さんの声はかわいい!(笑)

お聞きになりたい方は宮部さんの生声へ。「幻色江戸ごよみ」執筆時のお話が聞けます
※期限切れの際はご容赦!




ペンネームの由来

姓名判断の結果、本名で作家の仕事をすると、ノイローゼになると言われた。
また、あまり変えてしまうと、自分が呼ばれたときに返事が出来ないだろう、、、
ということで、ほんの少し変えたとのこと。(う〜む)(^^ゞ




宮部さんちは職人の家系?

お父さんは職人芸を必要とされる鋳物屋さん・・・鉄鋼関係。
落語好きで怪談好き。
夏の夜などはお父さんにお姉さん共々、よく怖い話をしてもらったいたらしい。
新幹線の最初のレールなどを造ったそうな。

お祖父さん(母方)は、木場の川並。
材木を結んだりほどいたりのお仕事。
なつかしい寺内貫太郎一家のような家庭だった、、、派手なことが好きだった方、、、らしい(笑)
宮部さんはそのお祖父さんが大好きだった。

お母さんは熱狂的な洋画ファン。
宮部さんご自身も15〜6歳から22〜3歳位まではたくさん映画を見られたようです。




宮部さん自身の本との出会い

[子供の頃]
「世界の名作怪奇館」/講談社/全7巻
子ども向けのホラー&サスペンス&SFのアンソロジー

[初めて読んだ文庫本]
「怪奇小説傑作集」/創元推理文庫

宮部さんは寝ながら本を読むらしい。(ま、もちろんいつもではないでしょうが)(笑)
病気で寝ていなければならないときも、本が読めて楽しかったそうです。
ご自身のミステリーとの出会いは以外と遅い。
スティーヴン・キングにはまり、誰かと話をしたくて「怪の会」(ミステリー愛好者のグループ)に入会。
20歳を過ぎてから「カー」「クイーン」「チャンドラー」などを読み始めたとか。




原稿は手書き?

作家になってからは全部ワープロのようです。
手書きの原稿はプロになる前に1本だけ。




宮部さんが好きな作家

宮部さんにとって神様みたいな存在と言われる「スティーヴン・キング」は別格。
好きな作家の一例としては「フィリップ・K・ディック」「ローレンス・ブロック」「岡嶋二人」「高村薫」など。




主人公に男性や少年が多いのはなぜ?

多分、(とご自身が書かれていますが)女性はよく知っているだけに理想化しにくい。
その点男性や少年が主人公だと、こうあって欲しいというのが素直に出て、理想化できる。




欠損家庭を書くのはなぜ?

そういう痛みを背負っている人というのは、人に対してやさしいから。
陰惨な事件を追うハンターとして、ふさわしいのではと思われているようです。




宮部さんのご贔屓

錦糸町駅前の人形焼きの店「山田屋」 あんがぎっしりつまっていて実においしい。(のだそうな)
この山田屋さんのあるところが、「本所七不思議」のひとつ、「置いてけ掘」があった場所らしい。
宮部さんはそれに触発されて七不思議をテーマに「本所深川ふしぎ草紙」を書いたわけですね。




田辺書店のモデル

これがあるんですね。
実際には郊外型のチェーン展開しているお店のようです。




宮部さんは外国人が苦手?

ことばが通じないから、だそうですが。。。(笑)




宮部さんは出不精?

2泊以上の旅行だと、もう家に帰りたくなってしまう、、、
家では好きなときに好きなことが出来るから。(笑)




[感想]


「RPG」

ネット内での擬似家族かあ、、、そんなこと思い付きもしなかったなあ。(笑)宮部さん、どっからそんなネタを仕込んできたんだろう。(苦笑)ネットなんてたしか使っていなかったはずなのに。(今はされているのかな?)(笑)でも「大極宮」が出来て以来、以前よりは宮部さんが何をしているのかがわかるようになりましたね。(苦笑)さて、作品ですが、犯人は、自分の△△は、、、自分の□□は、、、自分の××は、、、と、全て主観で物事を見ている、感じている。ま、それは致し方ないと思う。本人の性格もあるかもしれないが、第一経験が足りない。しかし、その状況の中では何らかの結果を出してしまう。または、出そうとして、、、今回の事件が、という事だ。人は必ず間違いを起こすものだし、それが当たり前だと思う。そのようなときに必要なのは、周りにいる人間たちである。今回の事件では、その誰もが振り回されていて、行動や考えを修正する方向に向かわせることが出来なかった。それが残念である。




「模倣犯」

宮部さんは、主人公と同じような経験を持たないわたしたちの心をもちくちくと刺し続ける。
ある部分では、教育というか調教というか、そういうものも人間には必要なのだろう。
自分のついた嘘はすぐに忘れ、自分がないがしろにされているという、これも当人だけの思い込みからくる理不尽さばかりを、声高に正当化すような、特にそんな人間には。

しかし、子供の育て方は、非常に難しいもののようだ。
お兄ちゃんを、お姉ちゃんを見ならいなさい、、、
あんたは何で生まれてきたんだろうねえ、、、
本当はあんたなんかよりも、実は女の子が、または男の子が欲しかった、、、
などと、口が避けても言ってはならない。

腸が煮え繰り返るような怒り、、、を久々に感じた。
価値観の違いなどという生易しい事ではない、異質の思考の形があるのだなあ。

模倣ということを考えるとき、その時代の、その社会のおおよそ認められた規範、性別、年齢、職業、立場、、、
我々は皆、なんらかの形では模倣者なのであろうか。

それにしても、犯人の遺族まで、世間から虐げられるのはなぜなのか。
犯人と密接に繋がっているという家族、身内というイメージのせいか。
あんな事件を起こしたあの人の兄弟や親だから、同じようなことをするのではないかという事か。
単に誰かを虐めるきっかけが、正当?な理由が出来たからか。

”チッソ”が原因だった「イタイイタイ病」の初期の発症者の話を聞いたことがある。
まだ、原因が何なのかわかっていなかった時の事。
その人は、自分の親戚筋からもずいぶん責められたらしい。
こんなわけのわからない病気を、身内から出して恥ずかしいと。

自分が突然に、殺人者の家族、被害者の家族となった時、我々はどんな考え方を、行動をとるのでありましょうか。




「ぼんくら」






「幻色江戸ごよみ」

宮部さんのお気に入りは第七話の「だるま猫」だそうです。宮部さんの猫好きはよく知られていると思いますが、化け猫話しをいかに怖く書けるか?に挑戦したものらしいです。(笑)

第一話「鬼子母火
(初出)歴史読本94/04
幼子を残したまま亡くなってしまった母親の魂は、死んでさえ尚、、、

第二話「紅の玉
(初出)歴史読本94/03
自分の信念が誰にでも通用するという勘違いに、死んでも気づかない輩がいる。

第三話「春夏秋燈
(初出)時代小説大全94年夏号
念のこもった物は早く手放したほうがいい、、、でも大概は災いを成すまでは離れていってくれない。

第四話「器量のぞみ
(初出)歴史読本93/06
ま、人は容姿だけじゃないってことですよ。(ああ、良かった、、、ん?でも性格まで悪かったら、、、)

第五話「庄助の夜着
(初出)歴史読本93/07
ものごとには、それに係わった人の数だけの真実があるのかも知れない。

第六話「まひごのしるべ
(初出)歴史読本93/08
得ようとしても得られないものの、なんと多いことか。

第七話「だるま猫
(初出)歴史読本93/09
うまい話には裏がある。しかし、目の前に鰹節をぶらさげられた猫は踏みとどまれない。

第八話「小袖の手
(初出)歴史読本93/10
まだ子供なのに、わたしはもう大人よ!などという子供に、こういう話しをしてやるのもおもしろい。でも、鼻で笑われるだけか。(苦笑)

第九話「首吊りご本尊
(初出)歴史読本93/12
迷いは己自身でふっきらなければいけない。芯の通った生き方が出きるのは、それからなんだろう。

第十話「神無月
(初出)歴史読本93/11
盗人にはそうしなければならない理由があり、そして、岡引にも。

第十一話「詫助の花
(初出)歴史読本94/01
どんなにしがみついても、自分の力で得たものでない限り、それはするりと逃げ、二度と戻らない。

第十二話「紙吹雪
(初出)時代小説大全93年冬号
こういう話が一番辛い。




「初ものがたり」

お勢殺し
(初出)小説歴史街道94/02
欲に目がくらむと、人間なにをしでかすか。

白魚の目
(初出)小説歴史街道94/05
子供たちがかわいそうすぎる、、、

鰹千両
(初出)小説歴史街道94/08
その時代の慣習が、哀しい結末を。

太郎柿次郎柿
(初出)小説歴史街道94/11
土産など持たせなければ良かったのに、、、

凍る月
(初出)小説歴史街道95/02
立場につぶされていく男、そして、変わっていく男を哀しく見守る女。

遺恨の桜
(初出)小説歴史街道95/05
女の悋気は恐ろしい、、、




「天狗風」
霊言お初捕物控二

「震える岩」を読んだら、どうしても「天狗風」が読みたくなってしまいました。これも何度目かの再読です。(笑) たまんないですね、これは。。。何度読んでもおもしろいなあ。。。が、これで終わってしまうのもなんですので。(笑)お初ちゃんと右京之介の関係も少しは進んだでしょうか。お初はどちらかと言えば、考えるより先に体が動く。それに対し右京之介は、考えすぎるきらいがある。二人を足して二で割ると、っていう非常に好ましい関係ですね。(笑) 右京之介はもう少し年齢を経れば、思慮深いタイプの人間になりそうですし、お初も情の濃い、いい女になりそうです。(笑) 六蔵、およし夫婦とは違った意味で、いい夫婦になりそそうです。(もう、夫婦になると思っているらしい、、、)あまりねたばれするのは良くありませんので、ここいらへんでやめときますが、霊言お初の2シリーズはぜひお勧めです!宮部さんは超能力を持った人間を書くことが多いですが、それはそれで作品の展開の妨げになるなどということが全くありません。超能力を持っているんなら適当なところで、それを出しさえすれば何でも解決出来るんじゃないの?なんてことは絶対ありませんっ!(笑) そういう理由で二の足を踏んでいたんなら、ぜひ読んでみてくださいね。鉄、すず、和尚、、、の活躍も楽しみですよ。(笑)




「震える岩」
霊言お初捕物控一

いやあ、、、参ったなあ、、、読ませますね、これは。。。(笑)何度目かの再読なんですが、ついつい引き込まれてしまいます。佳境での右京之介の推理が、なんとも泣かせます。赤穂浪士や忠臣蔵の裏には、本当にそういう事があったのかも知れない、そんなふうに自然に思わせてくれます。そして様々な人の思いを巻き込んで、物語は一気に終幕へ。霊言お初のシリーズは、この後「天狗風」が発表されています。お初や京之介が、今後、どのような生き方をしていくのか、非常に楽しみです。★はもちろん5つです。(笑)



「クロス・ファイア」

「クロス・ファイア」の*クロス*ってどんな意味で使っているんだろう?と思いまして簡単に調べました。

1.十字の形、十字架
2.交差する、(足などを)組む、
3.(道などを)横切る、(海などを)越える
4.行き違いになる

読了後ですと、なんだかどの意味も妙に腑に落ちてきます。全体の感じとしては「レベル7」よりも「霊言お初」っていうところでしょうか。内容としては「レベル7」かな。(わからんことを書いてるなあ)(笑)宮部さんも書かれていますが、シリーズではなく続編としての作品は初めてじゃなかったでしょうか。そういう意味では「燔祭」がこう膨らむのか、確かにそういう興味は満足させられます。しかし「レベル7」的な期待をしていたわたしは、なにかこう肩透かしをくってしまったような、そんな読後感を持たされました。推理物ですからお約束のどんでんがえしは必要だと思いますが、最後の最後でのその展開はちと余計だったか、(全く個人的な感想ですが)と思われてなりません。でも、ところどころにちりばめられた宮部さんの考え方にはやはり共感を覚えました。特に上巻の現代の若者に対する洞察などは、全くそのとおりっ!っていう感じでした。(笑)




「堪忍箱」

「お墓の下まで」

人と人の繋がりにはいろんな形があると思います。本当の本質をあらわにして対峙するということは、ほとんどないと思います。しかし哀しいのは互いに互いを思うがゆえに不幸になっていく例です。変な言い方ですが、人の世である限りそういうことは連綿と続いていくんでしょう。



「地下街の雨」

短編7つが納められています。94年4月25日に第1刷が出たようですが、初出は90〜93年にかけてのようです。帯には「都会の片隅の孤独。それでも希望の季節はきっと来る!愛と幻想の最新作品集」とあります。

「地下街の雨」

親友の彼女をずっと好きだった男が、その親友と彼女の結婚が破談となったとき、ある行動をとります。破談の直後に彼女に近付いては、みえみえととられてしまうのが嫌で、ある芝居をうつんですね。これが読んでいるわたしらには解りませんから、見当違いな方向でやきもきさせられてしまいますし、芝居を手伝ってくれた女性がちょっとこわい女と思ってしまいました。最後にその真相を見破ってしまった彼女のやさしさというかあきらめというか、それがわたしなどにはよほど切なかったです。妥協とはちょっと違いますし、寂しさに負けてしまったというのとも違うような気がする。未婚の女性の感想はまた全然違うかもしれませんね。

「混線」

これを読んでいる貴方、いたずら電話などしたことはありませんか?度を過ぎると怖いことが起きるかもしれません。

「勝ち逃げ」

この作品が一番印象に残りました。既婚の男性と未婚の女性とが駆け落ちの約束をして、決行ギリギリのときに男性が子供が不憫との理由でとても行けないと、書いた手紙を彼女に手渡してもらうべく、第3者を訪ねる途中でその手紙を盗まれてしまう。そして手紙はほぼ30年後にその女性の姪が見ることになる・・・

最後の「伯母さんの勝ち」というのがいまひとつしっくりきません。現在生きているその女性の姉妹や姪から思えばそう思いたいのは解りますが、亡くなっている女性があちらの世界に引きずっていった気持ちは、そんなものではなかったのではないかとわたしは思うんです。怒濤の長編も好きですが、なにかこの短編集のようにふっと現実に引き戻されるようなものもいいですね。




「本所深川ふしぎ草紙」

「送り提灯」

なんだかおばかなお嬢様ばかりが鼻につきましたね。典型的な押し込みの手口にまんまと引っかかってしまいました。おりんちゃんは12歳ですもんねえ、かわいそうに。ま、それだけでは感想にもなりませんので、少しだけ。おりんちゃんと清助の関係での事なんですが、好きとか嫌いとかそういう事でなくても、自分の事を理解してくれている、と思っていた人のが自分から離れてしまった(距離的にも、社会的にも)もう手の届く所にはないのだということを実感する瞬間と言うのはなんとも寂しいもんですよね。




「心とろかすようなマサの事件簿」

「心とろかすような」

「心とろかすようなマサの事件簿」は宮部さんのデビュー長編「パーフェクト・ブルー」の面々、蓮見探偵事務所のメンバーとそこの飼い犬老犬のジャーマン・シェパードの「マサ」を中心に展開されます。このマサがうわさに聞いた通りほんといいですね。老犬っていう設定がまた泣かせますね。これが幼犬や成犬ではやはりいけません。老成された犬格から語られる言葉は重みが違います。マサが警察犬としての過去を持つ設定も、こういう話にはまた良いです。ぜひ、このシリーズが続けばいいと思います。今回は短編5編です。

わたしのように既に「パーフェクト・ブルー」の内容を忘れてしまっている者にとっての導入部はありがたい。なんとなく思い出しました。で、1話を読んだ段階でまた「パーフェクト・ブルー」を読み返したい気持ちにさせます。マサが以前の飼い主の元からどうして蓮見探偵事務所に来ることになったのか、老犬になってからは飼うのが難しい犬のマサと蓮見〜の面々がどうしてお互いに絆を持てたのかのエピソードもちょっとうるっとさせます。(こうやって術中にはまっていくのであった)

1話は「父と娘の関係」が軸なのかな?もし正当な理由があっても「無断外泊」がはじめて解ったら、父親はやはりああいう反応か、または問答無用で叱りつけるしか対応はないのかなあ?娘を信じたいがそれでもなお不安がつのる様子は何故かよく解るような気がします。娘からはわたしを信じられないの?なんて言われるし、そう言われたって不安なのは仕方ないですよねえ。(しかしいったい何が不安なんだろ?)(笑)




「平成お徒歩日記」

宮部さんの写真が何枚か載っているし(なんだか宮部さん楽しそうだ)まるでオフレポを読んでいるような感じですね。宮部さん自身のchachaもいっぱい入ってるし。本所深川の七不思議の原型?も載っていて、「本所深川ふしぎ草紙」がまたおもしろく読めますね。この4年間に渡って続けられた「お徒歩」を読んで、ますます宮部さんが好きになりました。なんていうかほんとうにナチュラルな方なんですね。「お徒歩隊」の面々とのやりとりなんか最高です。こんどは対談集とかそのへんにも手を出してみよう。余談ではありますが、わたしが気に入った宮部さんの写真は、p229の木場で写したものですね。ちょっと眩しそうな表情の宮部さん、いいです。(笑)




「返事はいらない」

返事はいらない

何かに決別しようとするとき、それが仕事や人や、そしてまた、自分がとても大切にしていたことであったら、、、わたしなら、そして、あなたなら、いったいどうするでしょうか?

ドルネシアにようこそ

どんなに頑張っても自分には手の届かないものがあるとき、人は普通なら、それを手に入れられたことを密かに夢想して、束の間自分に満足感を与える、なんてことが多いんでしょう。しかし、その夢想が現在の自分を再認識させるように、いきなり現実になったとしたら、それも自分には手の届かないものを、すでに手に入れている者がさげすみのためにしている虚言だとしたら、、、舞台裏っていうのは、突き詰めて考えれば、結構皆同じようなものなのかも知れない。

言わずにおいて

自分の生活を知らない間に覗かれていたら、、、希望や生きがいを失ってしまうっていうことは、それがいかに自分に原因があるとは言え、辛い事に変わりはないですね。

聞こえていますか

誰かいませんか?わたしはここにいます。わたしに気付いてくれませんか?わたしはここにいるんです、ずっと、ひとりで、、、あ、これは内容とは直接何の関連もないんですが、今では見かけなくなってきた「うちわ」で風を送って貰うって、贅沢な事ですよね。(笑い)

裏切らないで

年をとった、、、と、女性が感じる瞬間って、やはり自分よりも若い、輝いて見える同性を見てしまった時なんでしょうか?何の関係もないその同性をあなたは、あなたなら?

わたしはついてない

ま、これはとにかく読んでみてください。(笑い)